海の近く

えらく時間が空いてしまいました。5月中旬に福岡に居を移しました。(ただし未だ引っ越しは完了しておらず…)

山の近くから海の近くへ。箱崎キャンパスまで、自転車と地下鉄を使って40分ほど。二度と会わないたくさんの人とすれ違いながら通勤。福岡らしい生活のリズムが流れ始めました。



もちろん、つぐみも(おそろしく)元気です。とにかく食う。食う。食う。そして、走り、おどる。
Mさんから前髪ぱっつんしてもらって以来、なんだか大人びてきた気が。

+

で、おしらせのつづき。

まず、杖立ラボについて。
ラボのサイトではお知らせしましたが、今までの事務所を閉鎖して、杖立内のアパートの一室に移転しました。今までのようには開放はしていません。。

一応代表のままですが… 今後はより一層、九工大の景観研究室が主導していくかと思います。そろそろ新たなプロジェクトが動き出す模様。ぼくは今まで程ではないにしても、月に1・2回は顔を出しながら、杖立のまちづくりには関わっていくつもりです。この6年を振り返ると… なんて書き始めると涙でめがねが曇るのでやめときます。

そして、南阿蘇えほんのくにについて。
2月に事務局長を辞して、今後はアドバイザーみたいな立ち位置で関わっていきます。こちらは熊本県立大の皆さんが頑張ってくださることに。

置き土産として企画したのが「南阿蘇えほんのくに図書館」。図書館のない村に図書館を作るプロジェクト。ハコの図書館を作るのではなく、まちの図書館を作る。お店や自分のおうちに絵本を置いて、それを公開する。ある人は縁側に、ある人は子どもたちが使っていた子ども部屋に。それぞれの小さな図書館がつながって、大きな村の図書館になる。

本は借りるのではなく、交換する。絵本の中には「オモイデしおり」。表現の善し悪しだけではなく、蓄積された想い出が、絵本を選ぶ手がかりになる。そしてその想いは交換されていく。そんなプロジェクトです。

ぼくは、図書館で手にした本に添付されていた「図書カード」が好きでした。うす汚れた茶色の紙に記された鉛筆の痕跡。「あ、あの子が借りたんだ」とか「お前の兄ちゃんやん!」とか。初めて手にする本の手触りが、初めてではない気がする時。そして次に連なる自分の名前。ぼくが手にしたものは、本であり、本ではなかった。「オモイデしおり」は、そんなことを考えて、出てきたものです。

このプロジェクトを企画・運営していく中で、様々な問題が出てくるはずです(出てきています)。個人情報はどうなるかとか、大切な本は交換できないとか、変な人が来たらどうしようとか。貸すだけでいいじゃないかとか。

南阿蘇えほんのくには、設立当初から「みんながやさしくなれる」というコピーが掲げられています。残念ながら、まちづくりは、性善説のみでは成立しません。しかし、それでもなお目指すべきは、性善説を受け入れる器量だと考えます。

このプロジェクトが持続していく以上、そこに関わる人たちは、やさしさに向けられた外圧と戦わざるを得ません。道半ばで離れた身分でおこがましいですが、どうにかこうにか「やさしさを伝えていく術」を考え抜いて欲しいと思っています。そう、例えば、エンデがファンタジーの力に託したような。



ついでに?杖立ラボの活動が掲載されている本の紹介。

■(祝!重版)風景のとらえ方・つくり方 -九州実践編-
杖立ラボの設立背景となった「杖立景観整備基本計画」から2008年に至るまで、主に景観整備とそれにまつわるローカル・ガバナンス、学生のプロジェクト等について、12ページにわたり紹介・解説されています(活動年表もあり)。

■(高いので学生はきついかも)全国の地域ブランド戦略とデザイン
 〜地域ブランド・自治体のイメージアップに貢献したグラフィック特集〜
グラフィックワークはこちらの本に。ロゴマーク決定から、プリン伝説プロジェクトまで。杖立でのブランディングの考え方も紹介されています。

June 26, 2009