trivial records

trivial recordsは2006年12月〜2011年7月に田北/triviaが綴っていたブログです。
すでに更新していませんが、アーカイブとして公開しています。

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一昨日からアタモの体調がいまいちで、早めに帰宅。鳩山さん関連のニュースを見ようとテレビを付けたら「Mother」というドラマがあっていた。なんかこう、子どもがいる人にとっては見るのがつらいストーリー。

少し見ただけなのでよく分かってないんだけど、親から虐待された女の子を救おうと、担任の先生が誘拐するという内容みたい。途中で、その子に付けられた(新たな)名前がツグミであることに気付いて、より一層つらくなった。ひざの上の「つぐみ」も何故か静かに観てるし。

その子の本名はレナというらしい。虐待の体験から開放するために、新しく名前を付けたのだろう(いや、分かんないんだけど)。と考えると「つぐみ」はいい名前じゃないか! なんて、言い聞かせてみたりもした。

ここを見ている人から「つぐみ」はどんな漢字ですか?と聞かれることが多い。
つぐみは平仮名。以前書いたように、竹富島の慣習からとった名前。

実は産まれる前は「風希(ふうき)」という名前にしようと思っていた(なぜか女の子だと確信していた)。同じく竹富島を舞台にした映画「ニライカナイからの手紙」の主人公(蒼井優)の名前が「風希」だったからだ。風希は、竹富島の風景を受け容れながら育つ、母親想いの子。

父親は、風希が産まれた時にはすでに亡くなっている(あるいは産まれてすぐ?)。でも風希は、父親が使っていたカメラで写真を撮り始め、やがてカメラマンを目指すことになる。

父親との距離感はそれぐらいがいいと思っている。周囲からぼくは早死にすると言われてるから、きっとそうなんだろう。ということは抜きにしても、ぼくが愛用している道具に気付いてくれるだけでいい。でも母親想いで、あってほしい。

そして何より風希が発する台詞「ありがとうね」がよかった。ほんとうに有り難い気がした。だから、風希にしようと思っていた。

んじゃなぜ、風希にしなったかというと、「つぐみ」が閃いたことが大きい。今でも風希はいい名前だなぁと思っている。でも「つぐみ」にすることにした。強くこだわったわけでもないし、どうやって閃いたかも思い出せないけど、つぐみだなぁと、腑に落ちた。

名前は不思議だ。
今となっては、つぐみ以外に考えられない。出てくる時には「あ、つぐみだ」と思った。つぐみも、つぐみであることから生きていく。どんなに「自分らしさ」に迷っても、つぐみという名前が包みこむ在り様は確固としている。そして周囲は、つぐみという名前からつながっていく。

先日。子どもを対象に活動しているNPOの人たちに講演をした際、知らされたことがある。
つい最近、「こうのとりのゆりかご」に預けられた子どもが1人、福岡の乳児院に入所したそうだ。親の住所が分かっている場合、その地域の乳児院(あるいは児童養護施設)に子どもが預けられる。つまり、福岡在住の人が「ゆりかご」に子どもを預けた。

そして、その子には名前がない。

「ゆりかご」に匿名で預けることができる以上、こういうケースは、少なからずあるのだ。

自分の名前が嫌いだという人がいるかもしれない。親に由来を聞いてがっかりした人もいただろう。でも、そんなことすら許されない子どもたちが、このまちで、確かに生きている。

分かるだろうか。名前がないのだ。

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以上が、昨日の講義で話した内容の一部。
「『こうのとりのゆりかご』を見つめて」を少しずつ読み進めながら、学生が感じたこと等を語ってもらい、それに対してぼくがコメントしている。そして、「ゆりかご」が提起した問題について、考えてもらう機会を作っている。

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お知らせ。

6/4(今夜)、アルバス「まちの写真屋を考える」の公開トークVol.1を開催します。学生だけでなく、一般の人とも意見交換をしていこうという主旨。九大で文化人類学を教えてらっしゃる坂元先生にお話をしてもらいます。坂元先生は、先生であるにも関わらず演習に参加したいと言ってくださり、学生のように普通に参加してくださっています。有り難い。ほぼ人数は埋まっているはずなので、来られる方は、必ず事前にアルバスまで連絡してくださいね。

6/18には、福岡在住のカメラマンさん3人をゲストにお迎えし、Vol.2を開催します。もうすぐお知らせをしますのでアルバスホームページをチェックしてくださいね。

6/7、福岡テンジン大学の説明会が開催されます。残念ながらこちらもすでに人数が埋まっています。開校に向けて今後も説明会を続けていくので、参加できなかった方はぜひ次回に参加ください。ブログtwitter(@tenjin_univ)をチェックください。ブログ・twitterともに、学長:岩永が綴っています。

8/19〜22に「紺屋サマースクール2010 ―都市と合宿する4日間―」が開催されます。全体テーマは「まちの余白をつくる」。現在参加者募集中。ぼくは、まちづくりという視点から講義をします。チラシはこちら(PDF)。

以上、最新の情報はtwitter(@localdesign)で。