杖立の人たちと山鹿温泉へ。山鹿温泉の惣門地区では、米米惣門ツアーといって、米をキーワードに地元の方が案内する仕組みがある。今回はそれを体験することがメイン。地元の方々に案内して頂き、みなさん興味津々。(お世話になりました)
ツアーの後、八千代座を見学。昼食。その後、平山温泉へ。協会の方の話を聞き、車で一周。みんなは山鹿温泉に戻ったけど、ぼくは、もちょっと「まち」の実態と泉質を確認したかったので、そのまま残ることに。
某情報誌の人気観光地ランキングによると、平山は人気が出ているらしい。はじめて訪れたんだけど、まちの構造が、同じくランキングが上位のわいた温泉郷(小国町)と非常に似ている気がした。
どちらもまちの明確な領域を想像しにくく、かつモザイク状に立地する各施設を「車から眺めるべき」自然(正確には、平山の場合は田園風景)が取り囲む。そして、日帰り客の利用頻度が高い「家族湯・立ち寄り湯」の数が多い。
まちの領域・全体像を身体的に認識することが難しい一方で、観光地(つまり、領域のある区域)として、某情報誌で名前が出る理由。そこらへんを、お風呂をハシゴしながら考えた。考えた結果をここで書くのはやめとくけど(すいません)、杖立の今後に非常に参考になる時間となった。
その後、山鹿温泉に戻り、じっくり「まちなみ」を歩く。今回の視察の個人的な目的の1つは、山鹿灯籠師の中島さんにお会いすること。来月、個展の企画のため、 日比野さんと訪れることになっていて、事前に感触を確かめたかった。
山鹿灯籠の特徴は、(有名だけど)まず、構造材を使わないこと。八女の特注の和紙を用い、糊だけで形作っていく。その繊細な手仕事には驚かされる。次に、燈籠の部材がすべて空洞であること。つまり、「棒」のように見えるものでも、それは和紙で囲まれた「ハコ」となっている。そして、燈籠のモチーフとなっているお城等は、正確に縮小したものではなく、そのスケールで美しく見えるようデフォルメされたものであること。これは日本庭園でいう「縮景」と同義。スケールに相応しい小宇宙が表現されてるわけです。
そんな燈籠のお話や今度のプロジェクトのアウトラインを中島さんとお話した後、もう1つの個人的な関心、さくら湯とその周辺(いわゆる中心市街地)をじっくり歩いてみる:写真。う〜ん。新開地(神戸)の風景と重なった。
国道325号/3号沿線のロードサイド・ショップの充実ぶりと空き店舗が多い中心市街地が対照的。ある面において、平山のニーズの高さとその課題の一端が、中心市街地の風景とシンクロする。その一方で成果を出しつつある近隣の歴史的まちなみ。ぼくだったらどうするか… そういうことを考えながら、帰途についた。