trivial records

trivial recordsは2006年12月〜2011年7月に田北/triviaが綴っていたブログです。
すでに更新していませんが、アーカイブとして公開しています。

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昨日。杖立の観光部会で、今後進めるべき4つの柱とその内容を提案。食・おみやげ・宿泊・イベント。今まで個別のコミュニティで進めていたことを、全体で束ねること。これが実現できたら、もう… 略。
夜は、食について杖立の若手の方と打ち合わせ。たのもしいなぁ。みんな楽しそう。いい感じ。

今日。昼から頭痛と嘔吐に悩まされ。時々あるんです。まぁ夜には完治するんですけどね。身体が弱ると、ネガティブ・スイッチがぽちっと入ります。(仕事の)不安材料が襲ってきます。一方、ぼくの身体が弱ると、アタモはポジティブ・スイッチがぽちっと入ります。はしゃぐんですよね。強制的に一緒にいる時間が増えるからかもしれません。「弱ってるよ、くっくっくっ…」と楽しそうに看病を。ほっぺをつついたり、口の前に手をかざして息をしてるか確認したり。(看病か?)

そうそう、赤ちゃんの性別が判明しました。たぶん?女の子だろうということです。大方の予想通りですね。アタモ家(5姉妹なんです)の遺伝子の勝ち。これで男の子だったらよほどちっちゃな… 略。

bgm: 週末 / suzumoku

高速

午前中。パソコンが欲しいという旅館さんに見積もりを持参。
杖立にいると、いろいろ頼まれるんですね。一番多いのはインターネット関係。「インターネットに繋がらなくなった」という電話はよくかかってきます。「パソコンが壊れた」「プリンタが動かない」というものも。トナー切れだけだった時には、ぼくはいったい… と思うこともありますが、こういうのが大事なんで、なるべく時間を割くようにはしています。

あれなんですよ。ぼくはこういう部分を「田舎のブラックボックス」だと言ってるんですけど、こういうとこに無駄にお金使ってることってよくあるんですね。ウェブサイトの運営コストも然り。そこにつけいる業者さんが、わんさかいます。田舎の方はよく分からないから、業者に言われた通りにお金を出してしまうんです。

杖立のようなとこは特に、未だにブロードバンド化されてませんから。ネットで調べようとしても、調べられない。調べ方も分からない。周囲に知識がある人もいない。そこで、都市では戦えない業者が田舎で商売を…というのが現実です。

例えば、ウェブサイトの運営コストを、とある旅館(杖立じゃありませんよ)で相談にのったことがあったんですが、60万/年、削減できたこともあります。あるいは、「デザインをタダで、その代わりサイトを介した予約の云%を払ってください」ていうサービスがあるんですが、こういうのもちょっと怪しかったり。(怪しくないところもありますよ)

とある業者は、フリー素材の画像を貼り付けただけのサイトを作り、見てくれと何の脈略もないところで、キーワードをがんがん入れといて「SEO対策万全」とか。んで、クライアントの旅館さんが、写真をちゃんとしてくれと言うと「お宅で用意できたものしか使えません」と。「予約の受付が始まってませんので、キャンセルはできません」とか。結局、その時に相談があって、ぼくが写真を提供したこともあります。

おまけに、その際「ありがとうございました」と言われて。あ、業者さんにですよ。おいおいと。その時はさすがにカチンときましたけどね。少なくもそれで「デザインができる」と言うなと。倒産するかも…という中でがんばってる旅館に、そりゃねぇだろうと。

そういう営みが、まちづくりの(大きな)足かせになるんですよ。文化も市場も育たない。地方の中小企業は(売り上げの)初期値が小さいし、マーケティングもなされてないので、サイトやパンフを「作るだけ」で何らかのリアクションがあるのは当然で。でもそれを「デザインによる効果」と言われても、違うだろうと。営業妨害する気はさらさらないんだけど、もっと健全に経営努力とスキルアップをしてくれ… あ、いつになくヒートアップしましたすみません。

今日の旅館のご主人は、70歳をこえている方なんですが、とても勉強熱心な方なんですね。「こう、電車でぱぱっとやりたいんじゃ」とノートPCを購入することに。すごいですね。すごいといえばぼくの祖父もすごいんですけどね。96歳になってパソコンを始めて、携帯メールも普通にしているみたいで。これからそういう高齢者の方が増えていくんでしょうね。

夜は福岡へ。九州酒… の仕事も第一段階を終えようとしていて。その打ち合わせ。やはり何かに挑戦しようとしている方達のお話を聞くのは、とても楽しい。写真は帰りの道すがら。

bgm: コンピューターおばあちゃん (youtube)

押し花絵

大牟田へ。cafe nei…が目的ではなく、今回はその隣りの杉野押し花美術館が深く関わっている「世界押し花絵芸術祭 in 大牟田2007」が目的です。もちろん仕事。ぼくが何に関わってるかというのは、ここでは内緒?に。

で、押し花。
このイベントに行く前、後輩から「押し花なんてマニアックですね」と言われる。マニアック… とんでもないです。とにかくすごい人でした。ツアーバスが全国から続々。平日なのに。若い人で30代後半。上は80歳くらいのおばあちゃんまで。9割は女性。あまりに多くて、香水に酔ってしまうほど。。みなさんほんと活き活きしてました。というか、必死…に近いかも。

なぜ大牟田でこのようなイベントが開催されたかというと、「押し花絵」の発祥の地が大牟田だからです。杉野さんという方が、約25年前に草花の色素を保ちながら乾燥させる技術を開発、押し花絵の作品を作り始め、現在に至るというわけです。

元々化学畑にいらっしゃった方なんですが、なぜ押し花に…というのは、長くなるので割愛。今回、海外の押し花絵も展示されていましたが、海外に元々「押し花文化」があったわけではありません。ポプリや標本を目的とした草花の乾燥保存は馴染みがありましたが、「押し花絵」はまさしく大牟田が作り出した文化なのです。

もちろん、技術が開発されただけではここまで浸透するわけはなく。約20年前から某A社によりとある仕組み(ビジネスモデル)が導入され、ここまでの押し花人口(市場)が拡がりました。そのきっかけの一端を、某大手通信業者も担っています。

さきほど「必死」と書きましたが、それはみなさん自分たちで作品を作っているからなんですね。カルチャースクールとか、お家とかで。今回も押し花絵コンクールと題して、全国から作品が集まりました。自分たちの作品を紹介したり、お友達の作品を探したり。素敵だと思える作品の手法をじっくり観察したり… そんな感じでみなさん楽しんでらっしゃるのです。ちなみにカルチャースクールで有名な某B社だけで、押し花部門の年商は約35億。決して「マニアック」ではないことが分かると思います。

押し花絵。それはいわゆる「クラフト」です。最近、クラフトの類の本が増えてきたような気がしませんか? パッチワーク、アクセサリー、バッグ、あみもの…エトセトラ。正確には「雰囲気の種類が増えている」と言った方がいいかもしれません。おしゃれカフェ風?のものだったり。

歴史の浅いこの「押し花絵」に関しても、これからもっと若い人向けの媒体が増えていくでしょう。クラフト業界を深く見ていくと、実によくできたビジネスモデルが構築されてるんですね。それに裏付けられた市場が新たなベクトルを見いだす側面と、その流れと葛藤しながら?作り手の美意識が細分化・先鋭化していく部分とが、今後より一層、顕在化していくはずです。

話は飛びますが、一般的な解釈の「クラフト」「アート」「デザイン」の違いって何だと思います?
近年ますますわかりにくくなってきてるはずです。デザイン、特に地域づくりに関わる人たちは、この違いについて自分なりの答えを見つけてほしい気がします。時折、この「普通の現象」を避けている人たちがたくさんいるように思えてしまうのです。そういう人たちは、東京に行った方が納得いく仕事ができるんじゃないかな。どっちが(社会にとって)好ましいとか、そういう問題じゃなく。

あ、会場を後にしたあと、(結局)cafe nei で舌鼓。かぼちゃのケーキがうまかったな。