trivial records

trivial recordsは2006年12月〜2011年7月に田北/triviaが綴っていたブログです。
すでに更新していませんが、アーカイブとして公開しています。

かかし

小国町では、ばされ祭りというお祭りがあってたんですが、ぼくは車で20分くらいのところで開催されている「案山子(かかし)祭り」に行ってきました。最近では、全国いろんなところで開催されてるみたいですね。

かかしのいろいろについてはこちらを見ていただくとして。
かかしは、ここにも書いてあるように、昔は依代(よりしろ)としての役割を担っていました。依代というのは、神様が依り憑く対象のことで。

神社にご神木がありますよね。銀杏や杉が多いかと。あれも依代です。ご神木の背が高いのは、天に近い方が神様が依り憑きやすいと思われたからです。神社そのものも、高台にあるケースが多いですよね。参拝する際に、登りにくい階段をハァハァいいながら登っていく。それは同時に、畏れ多い神(天)に近づく行為でもあるのです。

話がそれました。かかしです。
このようにかかしは、アニミズム(森羅万象に神が宿るという思想)の端的な表象としての役割を担うと同時に、その姿に強く擬人性が現れています。それは、田畑を荒らす鳥獣を驚かす役割を担わされた故でもあり。

よって結果的に、アニミズム的感覚が薄れた現代においても程よい距離感で(それは信仰の対象として扱われないという意味において)、何やら魂のようなものを感じられる対象となっています。

また、かかしは工芸品ではありません。商品でもなく。例えばこけしを作るのには、高い技術が要求され、美の型も存在しますが、かかしは何でもよいのです。その「何でもよい」ところがまた、おもしろい。型にはまる必要のない、田舎の風景に佇むかかしには、表現の可能性が凝縮しているのです。若干オーバーですか。まぁ…そんな感じですこしご紹介。

最初の写真は、「案山子まつりはこちら」と言わんばかりのかかし。マクレガーのスイングトップが粋。

 

かかし

題名「昔の私」だそうで。確かに昔はかわいかったのかなぁと思わせる反面、マネキンの持つリアリティが身につまされ?ます。(そんなのないけど)かかし学的には、マネキンは反則にしたほうが…。

 

かかし

これもマネキン。付かず離れずの「間」が絶妙。マネキンは小顔だということがよくわかります。

 

かかし

題名「仮面ダレダー」だそうです。たぶん、深読みしたら負けです。

 

かかし

中には、政治問題に鋭く切り込んだものも。「関係ねぇ」ではなく「関係ない」というところが。

 

かかし竜、だそうです。遮光ネット(農耕社会)に消費社会の象徴が食われてますね。それでもスヌーピーとは仲がいい。

 

かかし

題名「ゴルフ」。ダブルボギー加減がよく出てます。

案山子祭りは、ファームロードを小国から大山に抜けるところで開催中。人は少ないので、最初は、人?と思ったらかかしであることに気づき、ここを過ぎると、時々見かけるおじいちゃんが、かかしに見えてきます。不思議なテーマパークがここに。