trivial records

trivial recordsは2006年12月〜2011年7月に田北/triviaが綴っていたブログです。
すでに更新していませんが、アーカイブとして公開しています。

高速

午前中。パソコンが欲しいという旅館さんに見積もりを持参。
杖立にいると、いろいろ頼まれるんですね。一番多いのはインターネット関係。「インターネットに繋がらなくなった」という電話はよくかかってきます。「パソコンが壊れた」「プリンタが動かない」というものも。トナー切れだけだった時には、ぼくはいったい… と思うこともありますが、こういうのが大事なんで、なるべく時間を割くようにはしています。

あれなんですよ。ぼくはこういう部分を「田舎のブラックボックス」だと言ってるんですけど、こういうとこに無駄にお金使ってることってよくあるんですね。ウェブサイトの運営コストも然り。そこにつけいる業者さんが、わんさかいます。田舎の方はよく分からないから、業者に言われた通りにお金を出してしまうんです。

杖立のようなとこは特に、未だにブロードバンド化されてませんから。ネットで調べようとしても、調べられない。調べ方も分からない。周囲に知識がある人もいない。そこで、都市では戦えない業者が田舎で商売を…というのが現実です。

例えば、ウェブサイトの運営コストを、とある旅館(杖立じゃありませんよ)で相談にのったことがあったんですが、60万/年、削減できたこともあります。あるいは、「デザインをタダで、その代わりサイトを介した予約の云%を払ってください」ていうサービスがあるんですが、こういうのもちょっと怪しかったり。(怪しくないところもありますよ)

とある業者は、フリー素材の画像を貼り付けただけのサイトを作り、見てくれと何の脈略もないところで、キーワードをがんがん入れといて「SEO対策万全」とか。んで、クライアントの旅館さんが、写真をちゃんとしてくれと言うと「お宅で用意できたものしか使えません」と。「予約の受付が始まってませんので、キャンセルはできません」とか。結局、その時に相談があって、ぼくが写真を提供したこともあります。

おまけに、その際「ありがとうございました」と言われて。あ、業者さんにですよ。おいおいと。その時はさすがにカチンときましたけどね。少なくもそれで「デザインができる」と言うなと。倒産するかも…という中でがんばってる旅館に、そりゃねぇだろうと。

そういう営みが、まちづくりの(大きな)足かせになるんですよ。文化も市場も育たない。地方の中小企業は(売り上げの)初期値が小さいし、マーケティングもなされてないので、サイトやパンフを「作るだけ」で何らかのリアクションがあるのは当然で。でもそれを「デザインによる効果」と言われても、違うだろうと。営業妨害する気はさらさらないんだけど、もっと健全に経営努力とスキルアップをしてくれ… あ、いつになくヒートアップしましたすみません。

今日の旅館のご主人は、70歳をこえている方なんですが、とても勉強熱心な方なんですね。「こう、電車でぱぱっとやりたいんじゃ」とノートPCを購入することに。すごいですね。すごいといえばぼくの祖父もすごいんですけどね。96歳になってパソコンを始めて、携帯メールも普通にしているみたいで。これからそういう高齢者の方が増えていくんでしょうね。

夜は福岡へ。九州酒… の仕事も第一段階を終えようとしていて。その打ち合わせ。やはり何かに挑戦しようとしている方達のお話を聞くのは、とても楽しい。写真は帰りの道すがら。

bgm: コンピューターおばあちゃん (youtube)