trivial records

trivial recordsは2006年12月〜2011年7月に田北/triviaが綴っていたブログです。
すでに更新していませんが、アーカイブとして公開しています。

県庁

午前中は県の某委託事業のプレゼン。今回はちょっと厳しいかなぁ…というのが正直な感想。ですよね?…(ここで聞くなって)。その後、本館にある某課に移り、某プロジェクトの打ち合わせ。今後の方向性を共有。写真は県庁前の銀杏並木。実はぼくの親父はここに勤めていた。なので、この風景はそれなりに想い出深い。

庁舎がでかいと「税金かけすぎ!」と批判の的となる世知辛い世の中。でも個人的には自治体の中枢をつかさどる場所はそれなりに威厳を保って欲しいと思う。システムのお話ではなく、空間のお話だ。提案したいのは、緑を配すること。大きな建物ではなく、大きな樹木を植えて欲しい。それは社殿に寄り添う依代(よりしろ)のように、どこまでも高く続く空を想像できるものがいい。でもその木陰には、いつも家族連れがいるような。

久しぶりに電車通りを歩いてみた。ぼくが生まれたのは、ここ水前寺。その頃と変わったところと変わってないところと。キョロキョロしながらつらつらと。途中、中学・高校の時にお世話になった塾の前を通る。とても小さな塾だったので、車で通る度に看板の有無を確認していた。まだなくなっていない。
入ってみた。当時の先生がいらっしゃった。ぼくのことを覚えてくれていた。何も変わっていない。壁にかかった時計も当時のまま。講義5分前を刻む長針。微かな高揚感が脳裏をかすめる。もう15年くらいか。

塾を出た後、電車に乗ってみた。進行方向と並行に、向かい合わせで席が並ぶ。前の人と2mも離れていない。やや緊張。この距離で他人と居合わせるのが、妙に新鮮。
田舎にいると公共交通は使わない。ぼくはだいたい一日100kmは車で走る。世間では毎月1回「ノーマイカーデー」なるものがあるらしいが、まず無理だ。公共交通の採算がとれない田舎で、マイカーを取り上げられたら生活できない。起伏が激しく生活圏が分散した中山間地域では自転車も難しい。

一昔前までは「車社会」という言葉は都市的なイメージを醸し出していた。しかし、今ではすっかり田舎を支配している。地縁を基礎とした公共圏は田舎に残り、一方で「移動する公共圏」は都市部に集中している。見ず知らずの他人と接近する「移動する公共圏」に慣れ親しめるかどうかが、都市で生きられる条件と言っていい。