さいきん、ラボに居る時間がながいので、いろんな方が訪ねてきてくれている。のがよく分かる。
今日は、こちらをいつも読んでくれてると言う人、ぼくの知り合いの知り合いという人、「次は杖立だと思うんですよね」とおっしゃる写真記者さん、など。
今までも、ぼくが知らないうちに訪ねてきてくれた人がいたのかもしれない。興味深く窓を覗いてくれた人が、いたのかもしれない。申し訳ないなと思う一方で、出逢うべき人にはいつか出逢うだろうなと、いい加減なぼくも居たりする。
室生犀星は「はじめて逢ふために人を捜してゐるのが そんなに変に見えるのでせうか。人間はみなそんな捜し方をしてゐるのではないか、そして人間はきつと誰かを一人づつ、捜しあててゐるのではないか」と詠んでいる。
ぼくもはじめて逢うために、人を捜し続けている気分はする。しかし犀星ほど積極的ではなく、何かに委ねている気分もする。それが何なのかは分からない。分からないままで、いいとも思う。
K市で打ち合わせ、のあとMさんと食事。Mさんはもともと政務次官をやられていた方で、御年70数歳。某プロジェクトにてこの方とずっと一緒に動いてるんだけど、とにかくすごい。
人と人との繋げ方、気配り、年齢を感じさせない柔軟な発想、行動力。プロジェクトをマネジメントする力、とも言えるかな。プロジェクトのポイントを要約し、文間を残したコミュニケーションで相手の言葉を引き出し、補う。クライアントをいつの間にか当事者にする力強さがある。まちを動かしていたのは、「実は」この方だったりもする。
忙しさに負けてしまっているぼくに対して「たきたくんがやめるだったら、ぼくも引退する」とまで言ってくださった。そう言われるとやめるわけにはいかないし。まだ31年しか知らないし。ぼくが負けているのは自分であることを静かに教えてくれる、有り難い先輩。